01．ベースOpenGLビュークラスを作る

OpenGLの初期化処理と終了処理を行い、OpenGLを用いた描画処理の骨格を担う、ベースOpenGLビュークラスを作成します。

解説

OpenGLを使用して描画をするためにすべきことは、以下です。

1. 初期化処理として、wglCreateContext関数を用いて、レンダリングコンテキストを作成する。
2. 初期化処理として、wglMakeCurrent関数を用いて、作成したレンダリングコンテキストをカレントレンダリングコンテキストに設定する。
3. ビューのサイズが変更された際に呼び出されるOnSize関数で、ビューポートの設定、投影変換行列の構築、モデリングビューイング変換行列の構築をする。
4. ビューを描画する時に呼び出されるOnDraw関数で、モデル描画の処理をする。

プロジェクトの作成

「メニュー／新規作成／プロジェクト」を選択します。

テンプレート：Visual C++
テンプレート：MFC アプリケーション
プロジェクト名：OpenGLBase
場所：適当なフォルダを指定
ソリューションのディレクトリの作成：チェックしない
でOKボタンを押します。



次へボタンを押します。


アプリケーションの種類：シングル ドキュメント
プロジェクト形式：MFC 標準
MFCの使用：共有DLLでMFCを使用
ドキュメント ビュー アーキテクチャー サポート：チェックする
SDLチェック：チェックする
リソース言語：日本語
で次へボタンを押します。


設定を変更せず次へボタンを押します。


設定を変更せず次へボタンを押します。


設定を変更せず次へボタンを押します。


コマンドバー（メニュー/ツールバー/リボン）
クラシックメニューを使用する：チェック
クラシックのドッキング可能ツールバーを使用する：チェックしない
ブラウザースタイルのツールバーを使用する：チェックしない


すべてチェックを外す。
次へボタンを押します。


設定を変更せず完了ボタンを押します。

ビルドし、エラー、警告がないことを確認します。

OpenGLのヘッダーファイルのインクルード

OpenGLBaseView.h に以下の２行のOpenGLのヘッダーファイルのインクルードを追加します。
#include <gl\gl.h>
#include <gl\glu.h>

// OpenGLBaseView.h : COpenGLBaseView クラスのインターフェイス // #pragma once #include <gl\gl.h> #include <gl\glu.h> class COpenGLBaseView : public CView （・・・以下略・・・）

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OpenGLのlibファイルをプロジェクトに追加

OpenGLBaseView.cpp に以下の２行のOpenGLのlibファイルをプロジェクトに追加する記述を追加します。
#pragma comment( lib, "opengl32.lib" )
#pragma comment( lib, "glu32.lib" )

// OpenGLBaseView.cpp : COpenGLBaseView クラスの実装 // #include "stdafx.h" // SHARED_HANDLERS は、プレビュー、縮小版、および検索フィルター ハンドラーを実装している ATL プロジェクトで定義でき、 // そのプロジェクトとのドキュメント コードの共有を可能にします。 #ifndef SHARED_HANDLERS #include "OpenGLBase.h" #endif #include "OpenGLBaseDoc.h" #include "OpenGLBaseView.h" #pragma comment( lib, "opengl32.lib" ) #pragma comment( lib, "glu32.lib" ) #ifdef _DEBUG #define new DEBUG_NEW #endif // COpenGLBaseView （・・・以下略・・・）

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メンバ変数、メンバ関数の宣言の追加

OpenGLBaseView.h のベースOpenGLビュークラス定義の最初にメンバ変数、メンバ関数の宣言を追加します。

class COpenGLBaseView : public CView { // メンバ変数 private: HGLRC m_hRC; CDC* m_pDC; int m_cx; int m_cy; // メンバ関数 private: bool InitializeOpenGL(); void UninitializeOpenGL(); bool SetupPixelFormat(); bool SetupViewport(); bool SetupProjectionMatrix(); bool SetupModelViewMatrix(); bool PreRenderScene() { return true; } void RenderStockScene(); bool RenderScene() { return true; } bool PostRenderScene() { return true; } void RenderAxis(); protected: // シリアル化からのみ作成します。 （・・・省略・・・）

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メンバ変数の初期化

OpenGLBaseView.cpp のベースOpenGLビュークラスのコンストラクタにメンバ変数の初期化を追加します。

COpenGLBaseView::COpenGLBaseView() : m_hRC( NULL ), m_pDC( NULL ), m_cx( 0 ), m_cy( 0 ) { // TODO: 構築コードをここに追加します。 }

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OpenGL初期化処理

OpenGLBaseView.cpp にOpenGL初期化処理の定義を追加します。

bool COpenGLBaseView::InitializeOpenGL() { // デバイスコンテキストの作成 m_pDC = new CClientDC( this ); if( NULL == m_pDC ) { ASSERT( !"m_pDC is NULL" ); return false; } // OpenGL pixel format の設定 if( !SetupPixelFormat() ) { ASSERT( !"SetupPixelFormat failed" ); return false; } // レンダリングコンテキストの作成 m_hRC = wglCreateContext( m_pDC->GetSafeHdc() ); if( 0 == m_hRC ) { ASSERT( !"wglCreateContext failed" ); return false; } // レンダリングコンテキストの設定 if( TRUE != wglMakeCurrent( m_pDC->GetSafeHdc(), m_hRC ) ) { ASSERT( !"wglMakeCurrent failed" ); return false; } // クリア処理 glClearColor( 0, 0, 0, 0 ); // クリアカラー glClearDepth( 1.0f ); // クリア深度 // デプス処理 glEnable( GL_DEPTH_TEST ); // デプステスト glDepthFunc( GL_LEQUAL ); //デプスファンク（同じか、手前にあるもので上描いていく） // ポリゴン処理 glPolygonMode( GL_FRONT_AND_BACK, GL_FILL ); // ポリゴン（GL_TRIANGLES等）は、両面共塗りつぶす。 glDisable( GL_CULL_FACE ); // 裏を向いている面のカリング（カリングしない＝裏面も描画） glEnable( GL_POLYGON_OFFSET_FILL ); // ポリゴンオフセットフィル（面と線が重なる場合のカスレ防止） glPolygonOffset( 1.0f, 1.0f ); // ポリゴンオフセット量 // ライティング処理 glDisable( GL_LIGHTING ); // 光源 glEnable( GL_NORMALIZE ); // OpenGL側で法線ベクトルを単位法線ベクトル化するようにする glLightModeli( GL_LIGHT_MODEL_TWO_SIDE, 1 ); // 面の表と裏に光があたるようにする（0:表面のみ光があたる。1:裏面にも光があたる） glDisable( GL_COLOR_MATERIAL ); // カラー設定値をマテリアルとして使用 return true; } bool COpenGLBaseView::SetupPixelFormat() { static PIXELFORMATDESCRIPTOR pfd = { sizeof( PIXELFORMATDESCRIPTOR ), 1, PFD_DRAW_TO_WINDOW | PFD_SUPPORT_OPENGL | PFD_DOUBLEBUFFER, PFD_TYPE_RGBA, 24, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 32, 0, 0, PFD_MAIN_PLANE, 0, 0, 0, 0 }; int iPixelFormat; if( 0 == ( iPixelFormat = ChoosePixelFormat( m_pDC->GetSafeHdc(), &pfd ) ) ) { ASSERT( !"ChoosePixelFormat is failed" ); return FALSE; } if( TRUE != SetPixelFormat( m_pDC->GetSafeHdc(), iPixelFormat, &pfd ) ) { ASSERT( !"SetPixelFormat is failed" ); return FALSE; } return true; }

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OpenGL終了処理

OpenGLBaseView.cpp にOpenGL終了処理の定義を追加します。

void COpenGLBaseView::UninitializeOpenGL() { wglMakeCurrent( NULL, NULL ); if( m_hRC ) { wglDeleteContext( m_hRC ); m_hRC = NULL; } if( m_pDC ) { delete m_pDC; m_pDC = NULL; } }

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ビューポート設定処理

OpenGLBaseView.cpp にビューポート設定処理の定義を追加します。

bool COpenGLBaseView::SetupViewport() { glViewport( 0, 0, m_cx, m_cy ); return true; }

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投影変換行列の構築処理

OpenGLBaseView.cpp に投影変換行列の構築処理の定義を追加します。

bool COpenGLBaseView::SetupProjectionMatrix() { glMatrixMode( GL_PROJECTION ); glLoadIdentity(); glOrtho( -m_cx * 0.5 / 10.0, m_cx * 0.5 / 10.0, -m_cy * 0.5 / 10.0, m_cy * 0.5 / 10.0, 0.1, 1000.0 ); // 投影変換行列に対する処理はここで完結。 // 以降の変換行列処理は、モデルビュー変換行列に対して実施されるようにする。 glMatrixMode( GL_MODELVIEW ); return true; }

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モデリングビューイング変換行列の構築処理

OpenGLBaseView.cpp にモデリングビューイング変換行列（モデリング変換とビューイング変換についての変換行列）の構築処理の定義を追加します。

bool COpenGLBaseView::SetupModelViewMatrix() { glMatrixMode( GL_MODELVIEW ); glLoadIdentity(); gluLookAt( 0.0, 0.0, 500.0, // 視点 0.0, 0.0, 0.0, // 注視点 0.0, 1.0, 0.0 ); // 上ベクトル return true; }

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描画処理

OpenGLBaseView.cpp に描画処理の定義を追加します。

void COpenGLBaseView::RenderStockScene() { RenderAxis(); } void COpenGLBaseView::RenderAxis() { float points[4][3]; points[0][0] = 0.0; points[0][1] = 0.0; points[0][2] = 0.0; points[1][0] = 10; points[1][1] = 0.0; points[1][2] = 0.0; points[2][0] = 0.0; points[2][1] = 10; points[2][2] = 0.0; points[3][0] = 0.0; points[3][1] = 0.0; points[3][2] = 10; glPushAttrib( GL_CURRENT_BIT | GL_LINE_BIT ); // 色 | 線情報 glLineWidth( 2.0 ); glBegin( GL_LINES ); glColor3ub( 255, 0, 0 ); glVertex3fv( points[0] ); glVertex3fv( points[1] ); glColor3ub( 0, 255, 0 ); glVertex3fv( points[0] ); glVertex3fv( points[2] ); glColor3ub( 0, 0, 255 ); glVertex3fv( points[0] ); glVertex3fv( points[3] ); glEnd(); glPopAttrib(); }

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PreCreateWindow関数の編集

OpenGLが他のウィンドウに描画するのを防ぐために、以下の行を OpenGLBaseView.cpp のベースOpenGLビュークラスのPreCreateWindow関数に追加します。
（PreCreateWindows関数は、デストラクタ関数（COpenGLBaseView::~COpenGLBaseView()）のすぐ下にあります。）

cs.style |= WS_CLIPSIBLINGS | WS_CLIPCHILDREN;

BOOL COpenGLBaseView::PreCreateWindow(CREATESTRUCT& cs) { // TODO: この位置で CREATESTRUCT cs を修正して Window クラスまたはスタイルを // 修正してください。 cs.style |= WS_CLIPSIBLINGS | WS_CLIPCHILDREN; return CView::PreCreateWindow(cs); }

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OnEraseBkgnd関数の追加、編集

プロパティウィンドウを用いて、ベースOpenGLビュークラスにWM_ERASEBKGNDメッセージに対応するメッセージハンドラOnEraseBkgnd関数を追加します。
（メッセージハンドラの追加は、「クラスビュー」と「プロパティビュー」を使用します。
　まず、「クラスビュー」で、メッセージハンドラを追加するクラスを選択します。
　次に、「プロパティビュー」のツールバーの「メッセージ」を選択します。追加するメッセージ「WM_XXX」の右側のドロップダウンリストを用いてメッセージハンドラを追加します）

画面の描画はOpenGLがすべてを行うので、既定の画面背景消去処理を無効にします。
元からあるreturn文をコメントアウトし、
return TRUE;
を追加します。

BOOL COpenGLBaseView::OnEraseBkgnd( CDC* pDC ) { // TODO: ここにメッセージ ハンドラー コードを追加するか、既定の処理を呼び出します。 return TRUE; //return CView::OnEraseBkgnd( pDC ); }

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OnSize関数の追加、編集

ベースOpenGLビュークラスにWM_SIZEメッセージに対応するメッセージハンドラOnSize関数を追加します。
（メッセージハンドラの追加は、「クラスビュー」と「プロパティビュー」を使用します。
　まず、「クラスビュー」で、メッセージハンドラを追加するクラスを選択します。
　次に、「プロパティビュー」のツールバーの「メッセージ」を選択します。追加するメッセージ「WM_XXX」の右側のドロップダウンリストを用いてメッセージハンドラを追加します）

OpenGL初期化処理、ビューポート設定処理、視野角錐台設定処理、視点座標変換処理のメンバ関数の呼び出しを追加します。

void COpenGLBaseView::OnSize( UINT nType, int cx, int cy ) { CView::OnSize( nType, cx, cy ); // TODO: ここにメッセージ ハンドラー コードを追加します。 if( 0 >= cx || 0 >= cy ) { return; } if( NULL == m_hRC ) { // OpenGL初期化処理 InitializeOpenGL(); } if( NULL != m_hRC ) { // 画面大きさの設定 m_cx = cx; m_cy = cy; // ビューポートの設定 SetupViewport(); // 投影変換行列の設定 SetupProjectionMatrix(); // モデリング＆ビューイング変換行列の設定 SetupModelViewMatrix(); } }

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OnDestroy関数の追加、編集

ベースOpenGLビュークラスにWM_DESTROYメッセージに対応するメッセージハンドラOnDestroy関数を追加します。
（メッセージハンドラの追加は、「クラスビュー」と「プロパティビュー」を使用します。
　まず、「クラスビュー」で、メッセージハンドラを追加するクラスを選択します。
　次に、「プロパティビュー」のツールバーの「メッセージ」を選択します。追加するメッセージ「WM_XXX」の右側のドロップダウンリストを用いてメッセージハンドラを追加します）

OpenGL終了処理のメンバ関数の呼び出しを追加します。

void COpenGLBaseView::OnDestroy() { CView::OnDestroy(); // TODO: ここにメッセージ ハンドラー コードを追加します。 UninitializeOpenGL(); }

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OnDraw関数の編集

OpenGLBaseView.cpp のOnDraw関数に描画に関するOpenGL関数の呼び出しおよび描画処理のメンバ関数の呼び出しを追加します。
（OnDraw関数は、PreCreateWindows関数のすぐ下にあります。）

void COpenGLBaseView::OnDraw(CDC* /*pDC*/) { COpenGLBaseDoc* pDoc = GetDocument(); ASSERT_VALID(pDoc); if (!pDoc) return; // TODO: この場所にネイティブ データ用の描画コードを追加します。 if( !m_pDC ) { return; } // レンダリングコンテキストの設定 // MDI描画において必須。SDIにおいては省略可(InitializeOpenGL関数内で呼び出し済みなので）。 // 以降のOpenGL関数による描画は、指定したレンダリングコンテキス上に描画される。 wglMakeCurrent( m_pDC->GetSafeHdc(), m_hRC ); glClear( GL_COLOR_BUFFER_BIT | GL_DEPTH_BUFFER_BIT ); PreRenderScene(); glPushMatrix(); RenderStockScene(); glPopMatrix(); glPushMatrix(); RenderScene(); glPopMatrix(); PostRenderScene(); glFinish(); SwapBuffers( m_pDC->GetSafeHdc() ); }

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実行

実行結果

ダウンロード

ソースファイルダウンロード (ModelViewerOpenGLMFC2015_01_base.zip)

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