08．変化する画像を連続で描画

前の項で、Android(Java)のSurfaceTextureのテクスチャをUnityで描画できるようになりました。

ただし、画面に描画される画像が変わることはありませんでした。

本項では、変化する画像を連続で描画するように処理を変更します。

解説

変化する画像を連続で描画するために、すべきことは、以下です。

Java側の処理として、「Surfaceでの描画」を乱数を用いた描画に変更します。
Java側の処理として、「一定時間ごとに『Surfaceでの描画』を実行する処理」を記述します。
Unity側の処理として、Java側の「一定時間ごとに『Surfaceでの描画』を実行する処理」を開始する関数の呼び出しを記述します。

実装

プロジェクトを開く

「07．Java側で作成したGL_TEXTURE_EXTERNAL_OESのテクスチャを、Unity側で作成したGL_TEXTURE_2Dのテクスチャに転写する方法」を実施していない場合は、実施します。

Javaクラスの編集

Javaクラスのメンバー変数部に、Surfaceに変化する画像を連続で描画するための変数を追加します。Runnable変数に関しては、run関数の定義も記述します。
class SurfaceTextureRenderer { // 定数（・・・略・・・） // シェーダーコード（・・・略・・・） // GL関連（・・・略・・・） // シェーダープログラム関連（・・・略・・・） // バッファオブジェクト（・・・略・・・） // テクスチャ描画関連（・・・略・・・） // Surface関連（・・・略・・・） // Surfaceでの描画関連 private final Paint m_paint = new Paint(); private final Random m_random = new Random(); private final Handler m_handlerDrawInSurface = new Handler( Looper.getMainLooper() ); private final Runnable m_runnableDrawInSurface = new Runnable() { @Override public void run() { drawInSurface(); m_handlerDrawInSurface.postDelayed( m_runnableDrawInSurface, 100 ); } }; // イベントリスナー変数（・・・略・・・） }

Javaクラスの末尾に、以下のSurfaceでの連続描画の開始と終了の関数を追加します。
// Surfaceでの連続描画の開始 public void startDrawInSurface() { m_handlerDrawInSurface.postDelayed( m_runnableDrawInSurface, 0 ); } // Surfaceでの連続描画の停止 public void stopDrawInSurface() { m_handlerDrawInSurface.removeCallbacks( m_runnableDrawInSurface ); }

Surfaceでの描画 drawInSurface関数を、乱数を用いた描画に変更します。
// Surfaceでの描画 public void drawInSurface() { Log.d( LOGTAG, "drawInSurface() start" ); Log.d( LOGTAG, " Thread name = " + Thread.currentThread().getName() ); // Thread name = UnityMain try { Canvas canvas = m_surface.lockCanvas( null ); // 全体塗りつぶし canvas.drawColor( Color.rgb( 0, 0, 128 ) ); // 矩形 m_paint.setColor( Color.rgb( m_random.nextInt( 255 ), m_random.nextInt( 255 ), m_random.nextInt( 255 ) ) ); m_paint.setStyle( Paint.Style.FILL ); int iX = m_random.nextInt( m_iTextureWidth ); int iY = m_random.nextInt( m_iTextureWidth ); int iHalfWidth = m_random.nextInt( 200 ); int iHalfHeight = m_random.nextInt( 200 ); canvas.drawRect( iX - iHalfWidth, iY - iHalfHeight, iX + iHalfWidth, iY + iHalfHeight, m_paint ); // 円 m_paint.setColor( Color.rgb( m_random.nextInt( 255 ), m_random.nextInt( 255 ), m_random.nextInt( 255 ) ) ); m_paint.setStyle( Paint.Style.STROKE ); m_paint.setStrokeWidth( 30 ); int iRadius = m_random.nextInt( 200 ); canvas.drawCircle( m_random.nextInt( m_iTextureWidth ), m_random.nextInt( m_iTextureHeight ), iRadius, m_paint ); m_surface.unlockCanvasAndPost( canvas ); } catch( Surface.OutOfResourcesException e ) { Log.e( LOGTAG, " drawInSurface() : failed" ); e.printStackTrace(); } Log.d( LOGTAG, "drawInSurface() end" ); }

Androidライブラリモジュールのビルド

Androidライブラリモジュールをビルドします。

「Gradle」ウィンドウの「SurfaceTextureRendererProject > surfacetexturerenderer > Tasks > build > build」をダブルクリックします。

モジュールのビルドが開始します。
しばらく待ちます。
Android Studio のステータスバーに「Gradle build finished in ・・・」と出るまで待ちます。

「{Androidプロジェクトフォルダ}\{Androidライブラリモジュール名}\build\outputs\aar」フォルダに、リリースビルド、デバッグビルドの２つの「aar」ファイルが生成されます。

aarファイルの配置

Androidライブラリモジュールのファイル（aarファイル）を、Unityアプリのプロジェクトに配置します。

「{Unityプロジェクトフォルダ}\Assets\Plugins\Android」フォルダに、
「{Androidプロジェクトフォルダ}\{Androidライブラリモジュール名}\build\outputs\aar」フォルダに生成済みの「aar」ファイルのリリースビルドの方を、コピ－します。

Unityスクリプトの編集

Unityアプリのプロジェクトを開きます。

RawImageScriptクラスに以下の変更を加えます。

連続描画実行中かどうかを表すクラスメンバー変数を追加します。
フレーム毎に呼び出される Update関数に、Java側の「テクスチャ更新」関数の呼び出しを追加します。
イベント処理 OnEvent関数での、Java側の「テクスチャ更新」関数の呼び出しを削除します。
イベント処理 OnEvent関数での、Java側の「Surfaceでの描画」関数の呼び出しを、「Surfaceでの連続描画の開始」関数と「Surfaceでの連続描画の停止」関数の呼び出しに変更します。

RawImageScriptクラスの内容を以下のようにします。
public class RawImageScript : MonoBehaviour { // コンポーネント変数 private RawImage m_rawimage; // メンバー変数 private AndroidJavaObject m_ajoSurfaceTextureRenderer; private bool m_bPlaying; （・・・略・・・） // Update is called once per frame void Update() { if( null != m_ajoSurfaceTextureRenderer ) { // テクスチャ更新 m_ajoSurfaceTextureRenderer.Call( "updateSurfaceTexture" ); } } // イベント処理 public void OnEvent() { if( null == m_ajoSurfaceTextureRenderer ) { // 初回は、TextureRendererを初期化する。 InitializeTextureRenderer( 512, 512 ); } // Surfaceでの描画 if( m_bPlaying ) { m_ajoSurfaceTextureRenderer.Call( "stopDrawInSurface" ); m_bPlaying = false; } else { m_ajoSurfaceTextureRenderer.Call( "startDrawInSurface" ); m_bPlaying = true; } } （・・・略・・・） }

実行

Build And Run

Unityアプリのプロジェクトを開きます。

Android端末をUSB接続しておきます。

メインメニュー「File > Build And Run」を選択します。

Unityアプリのビルドが開始し、ビルドが終了すると、Android端末上でUnityアプリが実行されます。

起動直後

アプリ画面のボタンを押します。
変化する画像の連続描画が開始します。

アプリ画面のボタンを再度押します。
変化する画像の連続描画が停止します。

「Android Logcat」ウィンドウを確認すると、エラーは発生していません。

ダウンロード

サンプルコード

 github.com上のリポジトリページ